『墨子』を読む(備城門篇2)
いよいよ城を守っていきます。
まずは攻城戦を視野に入れ、城をどこに作り、どう運用していくかの概論。
漢籍国字解全書『墨子 備城門』
テキストと合わせてどうぞ。
城の基本的な備え
墨子は防御のために、まず次のような備えが必要としている。
- 城郭自体のメンテナンスが行き届いている事。
- 防御用の器具や装置が備わっている事。
- 薪や糧食が貯えられている事。
- 身分の高い者と低い者とが親しみ連携が取れている事。
- 隣国諸侯と親しみ救援が期待できる事。
- 君主が良い将軍を用いる事。
城を作る
ここから徐々に各論に移っていく。原文とは順序を入れ替えて、分類を行った。
- 場所
- 父母の墓があるなど、必ず守らなければならない場所であること。
- 資源が豊富であるなど、利益の多い場所であること。
- 守り易く、攻めにくい地の利のある場所であること。
- 築城
- 城塁を厚く、高いものとする。
- 城の周囲に深く幅の広い壕を巡らせる。
- 壕には水を張って池とする。
- 櫓を作り、見張りを立てる。
- 装備
- 防御用の装備をすぐに使えるようにしておく。
- 薪や食料は三ヶ月分は確保しておく。
- 人員
- 人員は選り抜いた者を配置する。
- 人員は職位の隔てなく親しいこと。
- 大臣には国のために力を尽くした功績のある人物が多く、君主はそれを重用し、民もまたこれらを信頼していること。
- 敵方に対して深い怨みを持ち、味方の内では尊敬されている者がいること。
- 規律
- 賞罰が明確であること。
築城以下についてはここから先で詳しく述べられていく。
一部OR条件が含まれているように読める(そうであれば場所はOR条件である)が、絶対に守るぞ!と思わせる場所に城は作りましょうというお話。
特に大多数を占める下っ端の兵隊や民衆レベルになると、大切な土地を守るという目的意識を持たせた方がまとまりやすいといったところ。ギリシャみたいに権利のために戦うっていうのも有りだろうけど、土地自体を目的にしたほうが結束は強そう。
いずれにせよ、戦力を集中して発揮させるために、目的の統一という点が大切になってくるという事だろう。