正岡子規『歌よみに与ふる書』
描写力を磨くなら俳句をやりましょうという話をたまたま目にしました(これについては別途書くかもしれません)。
俳句と短歌は別物という話はちょっと置いておいて、これら短い文字数で物を語るメディアにはあまり興味がなかったので、とりあえず解説書っぽいものを自前の名著ブックリストから選びました。
世間で言われる名作の類をボロクソに叩いていくという、なかなかロックな内容でした。
図書カード:歌よみに与ふる書
太宰治『斜陽』
恥の多い生涯を送ってきたので太宰治は教科書でメロスが走って以来、読んだ事がありませんでした。
なので、太宰については深くは存じ上げませぬ。世間では彼自身の人生と作品との結びつけや、複数の作品に渡るテーマなどを研究されているのでしょうが、そうした一切を知らずにこのブログを書いております。
それでもメロスがどうやら富野で言うキングゲイナー的な作品であるとの噂はかねがね聞き及んでおり、また作者が熱心な芥川信者であったこと、一部で熱狂的に支持されるような愛され方を見ていても、どうも太宰作品というのは、盗んだバイクで自由になれた気がする尾崎豊のような作品なんじゃないか、とは長年思っておりました。
ところが、実際に読んでみると、これはまったく違っておりました。と申しますのは、まず主人公が女性。物語もファンの方には失礼ながら、女々しいと言いますか、どちらかといえばバイクを盗まれた側、ガラスを割られた校舎の側のような内容で、やや自伝的にも思える作風は芥川よりも、むしろ漱石に近いようにも思われたのです。
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