フロンティア学院

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2022冬アニメ総括:幻想三國誌がとても良かった

唐突にアニメブログに変貌することをご了承ください。

平家物語

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ほぼ原作通りに進行しつつも、重盛周辺を掘り下げるという設定に悪意すら感じる内容、敦盛と仲良くなった時点で確信。超ハイスピード進行のため、原作を知っている前提だったりする。

びわというオリキャラが未来を見る目を持ち、古典である平家物語自体を知っている視聴者自身を暗示している。
中盤、びわが過去を見る目を手に入れることで、今度はアニメで描かれた現実としての平家物語を知る存在となる。
それが物語に影響することはないが、この設定により平家物語が語り継がれる中で込められた聞き手や語り手の「祈り」そのものを体現し、視聴者へと重ねる存在として描かれているところがよかった。

原作に忠実過ぎるので重盛の聖人ぶりや義仲・宗盛の無能ぶりがいっそ潔く、それだけ忠実なのに最終話で民間伝承を急に取り入れてきたのは、やっぱり民衆の祈りがテーマだったと思わせる内容で、満足度最高作品。

今時の学説を取り入れた平家物語は鎌倉殿の13人で。

幻想三國誌 -天元霊心記-

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今期、錆色のアーマとどっちが来るか……?で最後まで競り合っていたが、9話と最終話が最高だったので、今期実質ベストアニメ決定。上の平家物語は思い入れが違うのでちょっと別枠。

序盤は主人公達が露骨に謎の巨乳に騙されてるし、毎回設定の説明を長々とするし、掘り下げ回がめんどくさいし、なんか明らかにそれっぽい武将が出てくるのに頑なに名前を出さない姿勢はいいなと思ったらスタッフロールに劉備玄徳とか書かれてたりと大幅クソ加点を稼いでいました。これだけでも既におもしろい。

ターニングポイントは9話。いきなりエンディングテーマがOPで流れてそういう演出やるアニメなんだ!とびっくりする。
このエンディング、曲もかっこいいのだが映像が各キャラの名前や劇中キーワードが文字で流れてくるという、文字で能力を発動する主人公に沿ったものとなっているのだが、直前で現国の名言が流れてくるエンディングがあったために面白さが倍増していてお気に入り。
9話自体も仲間の一人に関わる重要な話があり、ラスボスが示唆される内容で特殊EDの使い方もあって印象が強い。

細かいツッコミどころは無限にあるものの、そういう演出面の勢いのまま最後までやりきってくれたので9話以降は特に良かった。

そして最終話、ラスボスの「嘆きの門」にでっかく「嘆」の文字が書かれていたり、「飛翔」と書かれた札で仲間達が当然のように空中浮揚しているあたりはもう今更。

連環!という連環の計と何の関係もなく、瘴気を吸って戦うヒロイン(幼女)の負担を主人公が肩代わりするという毎回使う技があるのだが、最終話でその技の新しい使い方が二通りも示され、テーマの絆につながってくる。
(ここで今まで出会った人たちがちょっとだけ出てくるのだが、黒井津さんみたいに処理したらもっと盛り上がると思う反面、主人公周りの絆に集約させたのは取捨選択かなと受け入れた)

絆が最高になったところで全作画力を投じたであろう一瞬だけめちゃくちゃ動くラストバトル(全話ショボいバンクで通した仲間の技がここだけ新規作画で派手に発動する)からの流れるようなエピローグ。

原作のゲーム全然知らんけどクソミソ入り交じった良いアニメだったと思います。
キングスレイドやシキザクラを推す身として、自信を持っておすすめします。

怪人開発部の黒井津さん

kuroitsusan-anime.com
ヒーローを倒すために日々怪人を作る人の話。
という立て付けだが徐々に幹部の話がメインになっていくのはヒーロー物としては王道ではあるのか。

性癖ギリギリな設定が続出するもののエッチな方面には(表向きには)行かず、あくまで怪人中心のコメディを成立させているのが楽しい。幹部の一人メギストス様が登場する度に徳を重ねて株を上げていくのが経営層として適切だった。

取って付けたように入るご当地ヒーロー枠と毎回やられる戦闘員バイトの子に何の意味が?と思っていたら最終的には全てを鮮やかに回収。積み上げからの最終話の勢いで準優勝。

というか世間的には万人におすすめできるのはこちらです。

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン

jojo-portal.com
信頼の枠。原作を読んだ時からFF推しなのでFFが動くだけでよかったです。
2クール目も楽しみにしています。というか2クール目を楽しみにしています。大体あのへんまでやりますよね?

ネトフリなので採算が取れないとかで無慈悲に打ち切られてもそれはそれでアメリカらしくて良いと思います。

プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2

anime.priconne-redive.jp
原作まったく知らないが、ラスボス的なのがいてちゃんと完結し、日常ものと思わせておそらくウマ娘のおかげで作られたアクションシーンが頻繁に挟まれるという豪華作品。
煉獄さんのおかげで作られた鬼滅の刃遊郭編と並べると、溜めの演出に味があり、溜めて、決めゼリフで、美麗アクション、と見応えを作っている点に良さがありそれぞれ楽しめた。

一緒に食卓を囲むことが幸福というテーマで、ラスボス撃破後の扱いや、エピローグも優しさに溢れていて、素直にいいもの見られたなと思った。

錆色のアーマ-黎明-

rustedarmors-anime.com
あの劇団EXILE絡みということもあり、今期一番の期待株だった。
恒例のエクスアーム枠とか言われていたが、テスラノートやシキザクラの例もあるのでどっちに転ぶか分からない……ということはなく、全体的にヘタクソな内容。

見所としては、大味な背景や、3Dキャラを用意していない一般人は一切アニメーションさせないなど、2D3Dが入り交じった際の違和感を逆に最大化することで解消するという低予算アニメの新境地を開拓しているところ。

中盤、わざわざ修行して個々の属性や連携して戦うという強みを見付けたのにラストバトルで散開して属性を何も生かさずに大技の連発でお茶を濁すところをはじめ、ツッコミどころが多すぎて逆に楽しいタイプのアニメ。

クソアニメ恒例の実写パートも気合いが入っており、なんと本編よりも面白いし勉強になる。
ロードオブヴァーミリオン以来の傑作では?

ただし、舞台からアニメになった経緯を踏まえると、舞台の演出してるんだなって感じのカット割りや役者の配置も理解はでき、最後は全員集合でカーテンコールとまあ舞台だよね、と納得できる。納得できるだけに我に返ってしまって大減点。

CUE!

cue-animation.jp
4つのチームがそれぞれ活動するお仕事モノで2クールあるんだけど、1クール目は声優組だけが仕事の解像度が高くて良かった。

そもそも出だしからパロディアニメのクオリティがやたら高かったし、アフレコ現場を通じて各キャラを掘り下げたのは一貫していて楽しかった。
明らかに某大運動会を思わせる劇中アニメのため、放送して大失敗みたいなオチを期待していたが、そんなこともなくアニメの現場に関しては真摯に描いていると思う。

一方で他の組(アイドル組、ラジオ組、ボランティア組)はお仕事モノとしては中途半端すぎる点が気になった。

さらに、ほぼ全キャラがテンプレキャラのため、テンプレ口調のせいでお仕事なのに敬語が使えなかったり弱小事務所なのに大富豪のお嬢がいたりなどが当然シナリオに生きておらず無駄な業を背負っている。

その極致であるゴスロリ中二病女を中心とした寄せ集めボランティア組がどうしようもなさそうなんだが、それは2クール目のお楽しみ。

現実主義勇者の王国再建記 第二部

genkoku-anime.com
第一部のバカみたいな展開を第二部の前半使って丁寧に処理していったのがメリハリ効いてて面白い2クールの使い方だと思った。
そして片付けが終わった後半またバカみたいな展開に戻ってきて安心感があった。

派手な戦争とか一切やらずにほとんど会話で済ませてるだけでなく、米ソ冷戦や女性の権利に踏み込んだシナリオ展開がタイムリーでもありえらく踏み込んだなと思ったら直後にスケベ展開に入るなど、全般的にバランス感が独特で楽しい。

水瀬いのりと愛美の主題歌が最高なので三部、四部と続けて欲しいが、どうでもいい真実が明らかになって終わったのでここで終わってもいいような気はする。

天才王子の赤字国家再生術

tensaiouji-anime.com
異世界ものは原作が面白い前提だからイイ感じにアニメ化すれば外れないんだよな、ということで外れなかったやつ。

頭が良すぎるので本当は何もしたくないのについ策略策略であらゆるピンチを大成功に変えてしまうという内容で、テンポも良くてシンプルに面白かった。

明日ちゃんのセーラー服

akebi-chan.jp
セーラー服の着脱描写に異常なこだわりがあり、各種フェチ作画を毎回繰り出しながらも、それを上回るセーラー服描写を見せて来るという変態のアニメ。

なので美麗作画だけ見ていたのだが、最終回のダンスシーンと、その合間に語られる過去・未来入り交じった体育祭の演出が美しすぎて10選入り。

で、そんな演出をやった後に一話に重ねたセーラー服着衣描写をちゃんと見せてくる。一貫性は評価したい。