フロンティア学院

パブリックドメインから世界をめざす

『墨子』を読む(備城門篇3)

今回は扉を作ります。

この企画を始めるにあたり、漢文全集みたいなやつで墨子をいくつか調べているのですが、最も備城門篇に触れている本ですら今回触れる部分までで、以下は省略されていました。
実際まっとうに翻訳すると意味がよく分からないし、この先もそんな感じになってくるし、当時の生活の知恵なので役に立たないし思想としてもあんまり関係ないという、そりゃ省略するワイという内容を読んでいくのがこのブログだよ。

漢籍国字解全書『墨子 備城門』
こちらも更新しています。

城門の扉を作る

城門の扉は懸門にせよ

懸門とはなんぞや? と調べると、次の記事が見つかった。写真もありわかりやすい。
唐が攻めてくる!? 1,300年前に築かれた幻の城「屋嶋城」 を訪ねた! 【艦これブログ~番外編】 | BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)
ただ本文解説を読むと、扉と同じサイズの木板を用意してシャッターのように使うのが懸門である!みたいな事が書いてある。太白陰経の引用を見る限り確かにそれを懸門と呼んでいるが、その後を読むと構造自体は上記のようなものという理解で良さそうに思える。

そもそも中国の城というのは城郭都市を指すと考えると、城、すなわち町を囲う城壁と出入りのための門は既に備えられている前提で、それに対してどういう防備を施すか?という解釈でよさそう。

扉の素材とサイズ

以下、一尺が18センチ、一丈は十尺、寸は尺の十分の一と考える。*1
木や竹を6センチ幅程度に編んで高さは約4メートル、幅約1.5メートルに造り、土を盛って厚さ4センチ程度とする。これを二枚一組で「扇」とする。
解説には竹や葦で作った扉が「扇」であるが木で作る場合もある、などとあり不明瞭なので、以下扉を防御するための装置を「扇」と表記する。
作り方からは土壁のようなものが想像されるが、おそらくはこの扇を元々ある門扉に装着して防御力を高めるということだろう。

扉の前に穴を掘れ

解説では深さ幅共に3メートルの穴とあり、上記の屋嶋城のサイズ感とも一致する。
既にここの解説が意味不明になっているのだが、要は堀を張り巡らせましょうという事だと思う。即席の対策として、城壁の弱点となる門の前だけでも穴を掘っておきましょうという事かもしれない。

扉にも穴を開けておけ

門の扉に穴を開けておいて70センチぐらいの縄で繋いでおこうみたいな事が書いてある。
よく山城で出てくる縄を引っ張って開く扉のイメージなのかな?と思ったけど、それにしては縄が短いし、門扉に扇を取り付ける方法を言ってるのかなと思う。
解説によれば穴は弓矢を射るのに使い、普段は物や幕で穴を隠しておくと書いてあるが、門に狭間を設けてもなあって感じなので、ちょっと受け入れづらい。

まとめ

城門の扉の備えとしては、次の点を工夫せよということだろう。

  1. 扉へのアクセスを遮断する
  2. 扉自体の強化を行う

順序がおかしいように思えるが*2、城門の種類についてはまた後々出てくるので、まずは扉の対策をしっかり検討しておこう。

*1:丈 - Wikipedia」古代中国における用例より

*2:すぐ出来る対策から順に書いてるのかもしれない。