フロンティア学院

パブリックドメインから世界をめざす

平家物語の論文を読まずに分かったつもりになる

最近、一体何をしていたのかというと昔の論文をひたすら読もうという試みは予想通り早々に飽きたので、 興味のある平家物語周辺に絞って追いかけていた。 とはいえ平家物語の論文だけでも全部読むのはやっぱり大変なので、 『日本文学』に掲載されている論文…

『日本文学』1953年7月号を読む

目次の紹介 『日本文学』1953年7月号 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nihonbungaku/2/5/_contents/-char/ja 西郷 信綱『山上憶良――文学形式をめぐって――』 馬場 あき子『狂言小歌について』 玉城 徹『白秋覚書』 《書評》「日本文学の伝統と創造」 道…

『日本文学』1953年6月号を読む

目次の紹介 『日本文学』1953年6月号 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nihonbungaku/2/4/_contents/-char/ja 近代 埼玉支部『京浜の虹をめぐって――新しい詩論の前進のために――』 丸山 静・伊豆 利彦・島田 福子『プロレタリア文学再評価の問題』 紅野 …

『日本文学』1953年5月号を読む

目次の紹介 『日本文学』1953年5月号 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nihonbungaku/2/3/_contents/-char/ja 安永 武人『大衆と文学――実態調査からの問題――』 岩城 之徳『民衆の中へ――啄木の遺稿に示された幸徳事件の影響――』 阪下 圭八『狂言小歌覚書…

『日本文学』1953年2月号を読む

目次の紹介 『日本文学』1953年2月号 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nihonbungaku/2/2/_contents/-char/ja 益田 勝実『サークルにおける古代文学研究』 桐原 徳重『文学としての平家物語』 吉田 孝次郎『《文学教室》教科書と「三四郎」』 広橋 一男…

『日本文学』1953年1月号を読む

二巻目に突入です。一巻は二冊しかありませんでしたが。 目次の紹介 『日本文学』1953年1月号 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nihonbungaku/2/1/_contents/-char/ja 特集 創造期の文学 永平 和雄『二葉亭の問題――「浮雲」と「舞姫」――』 古林 尚『詩に…

『日本文学』1952年12月号を読む

最初に気づけよって話なんですけど、週一ペースで続けると15年、毎日続けても2年半ぐらいかかりますねこの企画。 実は『知的トレーニングの技術』で通読の必要性を説かれていたことから出発しているネタなんですけど、時代を追っていくことで15年後には少し…

『日本文学』創刊号(1952年11月号)を読む

ここ最近、パブリックドメインの論文を使った遊びを展開してきたが、いくつか問題があった。(1)引用論文の信用性が疑わしい。 ネット公開されている論文には査読を通したある程度信頼していいものと、そのへんの人が好き勝手に書いたものとが混在している…

井原西鶴って本当に人気だったの?

井原西鶴について、ちょっと調べていた。 実は平家物語が好きすぎてロボットファンタジー小説を書いていたのだが、好きすぎるあまり色々調べ始めてしまってどうにもならなくなってきたので、少し寄り道したのだ。 小説も面白いから、ぜひ読んで欲しい。 nove…

古典は本当に必要なのか?

「古典は本当に必要なのか」と題されたシンポジウムが開催され、ありがたいことにネット配信で無料視聴することができた。 www.youtube.comそもそも学習指導要領の改訂により、高校教育における古典の授業時間が削減される、ということで、古典の授業は減ら…

家から一歩も出ずに平家物語の研究をする

久しく放置していましたが、お金を払う方の本を読んだり、他の所で文章を書いたりしてました。そのへんの言い訳は別途まとめます。 さて、当学院ではオンライン上のパブリックドメイン文献を扱っていますが、一体何がそんなに嬉しいのか?ということを改めて…

正岡子規『歌よみに与ふる書』

描写力を磨くなら俳句をやりましょうという話をたまたま目にしました(これについては別途書くかもしれません)。 俳句と短歌は別物という話はちょっと置いておいて、これら短い文字数で物を語るメディアにはあまり興味がなかったので、とりあえず解説書っぽ…

『墨子』を読む(備城門篇5)

『墨子』の連載を始めてしばらく経つが、特に城攻めや攻城戦といったワードで検索された形跡が無く、皆さんは城を守る気が無いのかと不思議に思う所である。城も守れないようでは一体何が守れるというのか。引き続き墨子の教えを読み解いていこう。 例によっ…

中島敦『弟子』

みなさん『論語』は読んでいるでしょうか? 私は最近ようやく最後まで読んだのですが、以前、一部を読んだ時に感じた「クソジジイのたわごと集」というイメージは特に覆ることはありませんでした。http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card1738.htmlそんな…

徳冨蘆花『不如帰』

どうも自分には学が無いので、このタイトルを「不如婦」だと思っていて、最初の方を読んで、これは不倫の話だ! と思って読んでいたらそんなことはなかった。*1図書カード:小説 不如帰よくよく読んだらちゃんと序文で作者自らネタバレしているとおり、悲恋…

『墨子』を読む(備城門篇4)

今回は見張り台を造り、地下からの敵に備え、さらに物資を人々から取り立てます。前回さらっと「すぐ出来る対策から順に書いてるのかもしれない」と書いたが、どうも実際そう考えた方が解釈しやすいように思えるので、以下その設定で進めたいと思います。 漢…

佐野学『西洋社會思想史』を公開しました

イエス・キリストは共産主義者である!などと言われるとびっくりしてしまうが、実際そういう見方もあるらしい。確かに必要なものを必要な人が使い、各自が役割を果たすのが共産主義と考えると、宗教自体がそういう傾向があるのかもしれない。佐野 學『西洋社…

『墨子』を読む(備城門篇3)

今回は扉を作ります。この企画を始めるにあたり、漢文全集みたいなやつで墨子をいくつか調べているのですが、最も備城門篇に触れている本ですら今回触れる部分までで、以下は省略されていました。 実際まっとうに翻訳すると意味がよく分からないし、この先も…

『墨子』を読む(備城門篇2)

いよいよ城を守っていきます。 まずは攻城戦を視野に入れ、城をどこに作り、どう運用していくかの概論。漢籍国字解全書『墨子 備城門』 テキストと合わせてどうぞ。

『墨子』を読む(備城門篇1)

突然だが墨子とは何か?とか、その思想の詳細については他を参照して欲しい。いずれ触れる機会もあるだろうが、今はその時では無い。墨子 - 中國哲學書電子化計劃 中国のサイトでは全文を読む事もできる。読むべき古典がこうしてアクセスのしやすい状態にあ…

浅野研真『聖徳太子と社會事業』を公開しました

ずいぶん更新が途絶えてしまったのでもう飽きたのかと思われるかも知れないが、飽きたのは事実の一部に過ぎない。 近頃はお金を払って本を読むかお金を払わずにパブリックドメインで無い本を読んでいたのだ。よって書く事が無かったのである。 ところで別で…

太宰治『斜陽』

恥の多い生涯を送ってきたので太宰治は教科書でメロスが走って以来、読んだ事がありませんでした。 図書カード:斜陽 なので、太宰については深くは存じ上げませぬ。世間では彼自身の人生と作品との結びつけや、複数の作品に渡るテーマなどを研究されている…

小川未明『青い石とメダル』

今日はいつも楽しく読ませて頂いている「青空文庫を読むブログ」からお題を拝借したいと思います。 aozorabunko.hatenablog.jp この『青い石とメダル』は、犬を助けるために主人公の勇ちゃんが色々やってメデタシメデタシという話なんですが、上記ブログにも…

海野十三『十八時の音楽浴』

覚醒剤にまつわる話が街を賑わせている昨今、得意げに「覚醒剤は用量・用法を守って使えば有益なものである。カフェインがそれである」などという、コーヒーだけに豆知識も耳に入ってくるが、真偽はさておき、その話を聞いて思いだしたのが海野十三の『十八…

魯迅『阿Q正伝』

教科書に載る作品はつまらなく感じる。それは読み方を強制されるからだと思う。 物語は本来面白い物で、ぼくたちが漫画やアニメを楽しんだように当時の人達もこういった教科書に載るような物語を楽しんでいたのだ。 それが教科書で登場すると、途端に高尚な…

カフカ『審判』

ドグラマグラを読んだらカフカを読もう。 図書カード:審判 大体、センセーショナルな煽りがついていてもミステリ三大奇書なんて所詮ミステリの奇書であり、アンチミステリというジャンルに入れ替えてしまえばそれまでのものだ。だけどアンチミステリはおも…

長谷川尚一『石油なくして何の新秩序の建設ぞ』を公開しました

石油が太平洋戦争の引き金の一つだという話は聞いたことがある。漫画『ジパング』でも後世中国で発見される油田を当時の日本が発見していたら、という話が展開されていた。 そんな石油に関する話だ。 長谷川尚一『石油なくして何の新秩序の建設ぞ』 - フロン…

尾崎紅葉『金色夜叉』

まず長い。当時の流行小説でラブコメだというので1click購入(0円)したものの、kindleのメニュー画面に表示される、内容量を示すバーの長さに圧倒される。 そして少し読む。 未だ宵ながら松立てる門は一様に鎖籠めて、真直に長く東より西に横はれる大道は掃…

横光利一『機械』

かつて教科書で出会ったのは『蠅』だった。これは駄作である。 図書カード:蠅 日常の儚さがどうとか蠅の視点がどうとか暗喩だとか言われるのは、これが「文学」として紹介されているからで、そういう見方をすれば、どんな作品も名作である。HUNTER×HUNTERは…

迫間房太郎『産金政策の一私見』を公開しました

迫間房太郎『産金政策の一私見』 - フロンティア学院図書館 前回に引き続き数稼ぎであるという本音の部分は一旦どこかに置き忘れてもらって、この迫間房太郎氏が問題なのである。この名字は何と読むのでしょうか。